Day-2 <Part-2>
2009年11月19日
一筋の光が、山の隙間から溢れてきた。
いよいよ夜明けだ。

山々が上のほうからゆっくりと光に染まっていく。
続いて、裾野にたなびく雲や煙突から流れる煙が光に染まっていく。
出発前の飛行機に浴びせられる融雪剤も光に染まる。

ゆっくりゆっくりと光が広がっていく。
今の時期のアンカレッジでは、日の出は9時半、日没は16時過ぎなので日照時間は5時間半ほどしかない。
光は本当に貴重なのだ。
大地に恵みの水をしみこませるように、光が染み渡っていく様子は神々しく美しかった。
その神々しい景色のなかをイレブンが飛ぶ。拝みたくなるほどの光景だ。

そして、とうとう太陽が山の上に姿を現した。
オレンジ色の光が津波のように押し寄せてきて一面オレンジ色に染まる。

マイナス18℃のなかにいることなどすっかり忘れていた。
太陽の光を浴びて「温かい」と思ったぐらい・・・だったかもしれない。

 

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