Day-1 <Part-1>
2009年11月18日
手荷物を受け取り、レンタカーを借りて早速外周へと向かった。

・・・とスンナリ1行で済ませたいところだが、実際はそうはいかなかった。
出国のときに預けたスーツケースが待てど暮らせど出てこない。
「僕の荷物が出てこないんですけどー」
ベルトコンベアのすぐ脇にあるカウンターに申し出ると、いかにもアメリカのおばちゃんといった風体の見た目も仕事も大雑把な感じのおばちゃんがしばらくカタカタとコンピュータを叩き、そして一言。
「45分後に来るわ」
それ以上の説明はしてくれなかったが、要は乗り継ぎ地のシアトルで積みそこねていて、かつ、シアトルのほうでも既に気付いていて次の便に載ってこちらに向かって飛行中、ということのようだ。
それなら最初から放送ででも呼んでくれればいいのに・・・。
まぁ、ヘンなところに行ってしまったわけではないので、とりあえずよしとしよう。

待つのは時間がもったいないのでスーツケースはホテルに届けてもらうことにして、撮影に出ることにした。
撮影機材はもちろん機内持ち込みだったので全て手元にある。
さらに奇跡的なことに、撮影に必要な防寒具の類も一通り機内持込にしていたのだ。
だから、スーツケースがなくても撮影に行くのに全く支障はない。

どうしてわざわざ防寒具まで機内に持ち込んでいたかというと、話はかれこれ22時間前。セントレアでの出来事にまでさかのぼる・・・。

僕:「成田行きの出発が遅れると表示されてますが、成田でシアトル便に乗り継ぎなんです」
グラホのおねーさん:「14時にこちらを出て、概ね飛行時間が50分ですから、乗り継ぎ時間が15分くらいになります」
僕:「わかってます。で、接続はとってくれるんですよね?」
グラホのおねーさん:「そういう対応は一切ございません(←キッパリ)。トライしてください!(←めっちゃ他人事)」
僕:「・・・はい。でも人が乗り継げても荷物だけ乗り継げないってこともありますかね〜?」
グラホのおねーさん:「そうですね、その可能性は高いと思います(←自信たっぷりに言うことか?)」
僕:「そうですか・・・じゃぁ着いてすぐ要るものは機内持ち込みにします」

この後、予定していたノースウエスト便は結局欠航になったのに、JALに振り替えるのを明らかにめんどくさがって渋るというとんでもないグラホさんだったのだが、結局この人の対応のおかげで機内持ち込みにしていたことが最後の最後で吉と出たわけである。

ターミナル内にあるHartzレンタカーのカウンターで手続きを済ませ、地下のレンタカー駐車場で防寒装備を固めた。
地下の駐車場ではよくわからないが外は確実にマイナスの世界なので、ズボンの下に"パッチ”、ズボンの上にスキーウェア。上は5枚重ね。手袋も撮影時の薄手のものと、待つ間にその上からかぶせる厚手の2重で用意した。さらに靴とポケットにはカイロを入れ、カイロと同じポケットに予備の電池も忍ばせた。

これから4日間の相棒は、トヨタのマトリックスなるハッチバック車。
日本で言うとたぶんカローラ・オーリスなのだろう(あとで調べたらまったく同じ車ではなかった)。
初めての左ハンドル車で、左側のドアを開けて乗り込むところまでは間違えなかったが、シートベルトを探す手は右肩越しの空間にむなしく伸びていた・・・習慣はホント細かいところまで染み付いているものですネ。

ソロリソロリとめっちゃヘタレ運転で地下の駐車場を出て外へ。
きれいに除雪された広い道を、まずは外周の定番ポイントめざして車を走らせていく。
気温は13°F。摂氏でいうとマイナス10℃くらいか。
1分も走ると左側にフェデックスのターミナルが見えてきて、イレブンが何機も並んでいる。
気温は低いがテンションは一気に上がっていく↑↑

アンカレッジの定番ポイントとは、離陸に主に使わる南北に伸びた滑走路の西側。
滑走路に沿って道路があり、そこから雪山とフェデックスのターミナルに並ぶイレブンを背景に離陸を撮れる場所。

いざ行ってみると、思ったよりけっこう起伏があるのと、フェンスがかなり高い(3メートルくらい)。
Google Earthで真上から見ただけだとどこからでも撮れるのかと思っていたが、実際は起伏の関係でフェンスが道路より低くなっているような場所に限られることがわかった。

どのへんがいいかな〜と思いながら、まずは程よい駐車スペースのあるところに車を止めてみた。
「おー! いるいる!」
見える範囲でフェデックスが11機、UPSが2機、上海が1機。
これでもかというくらいにイレブンが並んでいる。
・・・といっている間にさらに1機到着してフェデックスが12機になった。

「とうとう来たよー!」
気持ちがあふれて、声に出た。



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