<エピローグ>
最後の撮影を終えたあと、4日間登り続けた小さな土手を見た。
背の低さを補おうと少しでも高くなっている同じ場所にいつも立っていたので、そこだけ雪がなくなって黒い土がむき出しになっていた。
いったい何回ここに登ったり降りたりしたんだろう。

帰り道、初めて途中の駐車場に車を入れてアンカレッジの湾を見渡した。
カーブした海岸線の向こうにアンカレッジ市街の光が見える。
「綺麗なところだな」と今さらのように思った。

昨日と同じケンタッキーにまた行って夕食済ませてからレンタカーを返却。
受付のお姉さんに「旅は楽めた?」と聞かれてとっさに「イエス」としか答えられなかった。
手続きが済んで歩き始めてから、「楽しめた?」という言葉がずっと頭から離れなかった。
どれだけ充実した4日間だったかがどんどん思い出されてきた。
しょうもない「イエス」の一言じゃなくて、もっと楽しかったってことを伝えたかったと思った。

ホテルまで30分ほどかけてテクテク歩き、荷物をまとめて21時過ぎには早々とベッドに入った。
なにしろ明日は6時半発の飛行機。3時半には起きないといけない。
でも何故だかちっとも眠れない。こんなに眠れないのは久しぶりというくらい眠れず、結局1時過ぎまで寝付けなかった。

翌朝は5時過ぎにチェックアウトしてシャトルバスで空港へ。
朝6時半の飛行機なんてガラガラだろうと思っていたら予想外にほぼ満席!
このアンカレッジ〜シアトル便は1日24時間飛んでいて、アラスカ航空の主要な路線のひとつのようだ。
真っ暗な中、あの滑走路から飛び立つ。
離陸してすぐ、眼下にフェデックスがたくさんいるのが見える。
もう当たり前の風景なのにホッとする。
そうしたら、さっきまで眠れなかったのが嘘のように眠りに落ちた。


シアトルまでは3時間。そこから成田行きに乗り継いで、また3時間ほど飛ぶとアンカレッジの近くを通過する。
山くらいは遠望できるかなと思ったけれど、残念ながら雲に隠れて見えなかった。
次に見えた山は・・・富士山だった。




最後に、
この撮影旅行に行くにあたり、撮影ポイントや準備などでアドバイスをいただいたジーンさん、ボンさん。
航空券の手配で相談に乗ってもらったSutaniさん。
そして、「そろそろ海外行きたいんでしょう?どこか行ってきたら?」と最初のきっかけを作ってくれた妻のりこに
心から感謝いたします。
長年の夢をかなえてくれて本当にありがとう。



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