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土曜早朝の打ち上げを目指し、金曜に休暇をとって出発です。セントレアからまず福岡へ飛び、そこから鹿児島へは引退まであと1週間となっていたYS-11。
戦後の空白期間を取り戻そうと国産開発され、一代限りながら長きに渡って日本の空を飛び続けてきたYS-11と、同じころロケットに先見を見出した東大の固体ロケットから着々と進化を遂げてきたM-V。この両者が、同じ年の同じ月に同じ鹿児島で最後の飛翔をを迎えようとしているというのは、運命的なものを感じます。 |
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「日本の飛行機に乗って日本のロケットを見に行こう」
これまで3度の種子島で毎回思っては一度も実現せずじまいだったことが、何故か陸続きの内之浦へ行くときに実現してしまいました。
鹿児島空港に着いたのは打ち上げ前日の昼前。まだ時間はありますが、万全を期して下見と場所取りのためレンタカーで内之浦宇宙センター(正しくは「内之浦宇宙空間観測所」)を目指します。 |
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あらかじめ道を教えていただいていたおかげで迷うこともなく、午後2時前には宇宙センターまでやって来れました。空港から下道でちょうど100キロ、所要2時間はなかなか走り応えのある道のりです。空港を起点にするなら飛行機に乗って種子島宇宙センターに行ったほうが早いかもしれません・・・。別行動でたまたま来ていた会社の後輩は道に迷って4時間かかったとか。
まずは一般見学席をチェック。さすがに打ち上げ16時間前ではまだ人もまばらで、しっかり最前列が確保できました。種子島ではこれまで一度もまともな「見学席」で打ち上げを見たことがない僕ですが、内之浦宇宙センターの周囲は山がいきなり海に落ち込んでいるような険しい地形で、種子島のように海岸線や丘の上といったマニア好み(?)の場所は特にない模様。おとなしく見学所に収まることにしました。 |
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見学席から見る組立棟。この中でM-Vロケット7号機が打ち上げのときを待っています。打ち上げの時には旋回式のランチャーの動きによって写真の右側へロケットが出てくる仕組みになっています。
発射台は海に面していますが、一般見学席は両側に迫る山のわずかな隙間を突いてロケットを見るような位置にあり、ここからは海はまったく見えません。 |
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M-Vのいる「M台地」は当然ながら立ち入り禁止でしたが、そのほかの場所は普通に見学ができました。
蝉の鳴くのどか山間に突如として現れる、赤白に塗られたロケットに巨大なパラボラアンテナにその他もろもろの怪しい建物群・・・。まさに「秘密基地」という風情で、いったい自分はどこにいるんだろうという不思議な感覚に包まれます。 |
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上の写真の場所から、M台地が見下ろせました。
組立棟の中では115トンの推進薬が詰め込まれたロケットが火をつければ今にも宇宙にすっとんでいく勢いでじっと身構えているはずです。「がんばれー」と心の中でエールを送ります。 |
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センターの入口脇には資料館が建っていたのでこちらも見学。
映像や音響を駆使した科学展示館・・・を想像するとズッコケます。橋の上から5階建てくらいの縦に長い建物の最上階に入るのですが、入口がいきなり「カラカラカラ」と音を立てて手で開くアルミサッシの引き戸。思わず「おじゃましまーす」と言いたくなる風情。
中は中央の吹き抜けにM3Sロケットの模型が鎮座し、そのまわりを螺旋階段のように下りながら展示物を見ていくかたちになっています。 |
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試験に使ったロケットの部品や大学の学園祭の展示のような手作りのパネルが無造作に並んでいる、なんとも味のある展示の数々・・・。推進薬(燃料)のカットモデルやら1段目と2段目を切り離すときに使う火薬でちぎれるボルトやら、マニアックな知識がないとてんでわからないものが平気で並んでいるところが、いかにもその筋の研究をしている人たちが手作りで作った感じがしてたまりません(笑)
ようやくあったわかりやすい展示が日本初の人工衛星「おおすみ」の実物大模型(これも下手したら模型ではなくて何かのテストモデルだったりする恐れが・・・?)。黒く丸いのは衛星というよりロケットの一番上の段で、地球周回軌道に乗る最後の加速をするためのもの。その上にちょいと電波発信器を取り付けたら「これって衛星ちゃうん?」ということで日本初の人工衛星になったという経緯があるらしいです。 |
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展示館を見終えた時点でまだ午後3時。
今日は豪華客船・飛鳥2が鹿児島に来る日でもあったので、出航を見るため鹿児島市内に向かいました。
宇宙センターのある山あいと内之浦の町を結ぶ道路にかかる橋の欄干は人工衛星がモチーフになっており、展示館で見た「おおすみ」の姿も。 |
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