ロケットの打ち上げを自分のお目めで見に行こうツアー
H-IIAロケット7号機編
(2005年2月26日18時25分 種子島宇宙センターより打ち上げ)
<Part-1>
   
  2005年2月。1年3ヶ月間のブランクを経て、待ちに待ったH-IIAロケット打ち上げ再開。
スペースシャトルもH-IIAも飛べず、M-Vの打ち上げもない時間は本当につまらなかったです。

けれども発表された打ち上げ日は平日のど真ん中で、
就職した身ではさすがに見に行けないなあとおとなしく諦めていました。

ところが2日前。
打ち上げを見に行きたいというのでアドバイスを送っていた大学の後輩からメールが入りました。
「打ち上げ延期になったらしいです。26日以降に」
「ん?26日? ・・・土曜やん」
そして僕、月曜は福岡出張だしぃ〜。
「・・・行けるか?」

行っちゃいました。


  
↓以下の画像はクリックで拡大できます
というわけで3度目の種子島。
金曜の定時に会社を脱出し、初めてのセントレアなのに30分しか滞在せずに素早く飛行機に乗りこみ、あれJASはとっくになくなったのにハーレクィンエアのクルー便はまだハーレクィンのユニフォームなんだと感動しつつ福岡へ飛び、MD-81のお尻から降機を初体験し、後輩が「僕で最後でした」と言っていたのに僕も「最後の1席」が取れた夜行高速バスに乗り継ぎ、鹿児島からはジェットフォイルで・・・締めて15時間半の旅路です。動きはあんまり学生時代と変わってないな・・・(^^ゞ。

後輩が確保していたレンタカーに乗り込んでいざ出発!
・・・と出発して10秒後。

僕:「あ、港のあの看板撮ってない」

港のロータリーをぐるっと1周して元の場所へ。
上陸したらまずはこの看板を見ておかないと。
   
改めて出発進行〜・・・と思ったら。

後輩:「いまのトレーラーIHIって書いてありましたよ?」
僕:「マジ? もしかしてブースターか?」

再び港の中でストップ。
たしかに、IHIエアロスペースのロゴの隣にしっかり図が書いてありました。H-IIAの固体ロケットブースター(推進薬は種子島で詰めるのでケースだけですが)を運ぶ専用コンテナのようです。

大喜びで記念撮影する工学系の男2人。
車に戻ると、後輩の彼女さんが運転席に。
「こいつらに運転させてたら、いつまでたっても着かないわ」
と思われたか・・・(-v-;?

あとはおとなしく国道58号をひたすら南下。
記憶と地図と風景を照らし合わせながらナビに徹します。
   
1時間ほど走って、2号機の打ち上げを見た場所に近い通称「ご視察所」でロケットとご対面。
いやぁ。いますなぁ。来ましたなぁ。
さらに車で走って、4号機の打ち上げを見たポイントへ。
やっぱりここが一番近くていいな。後輩も気に入ったようなのでここに決定。

一旦南種子の中心に出て宿の確認や昼食を済ませ、打ち上げの2時間ほど前に再び戻ってきました。これまでの2回は歩きまくって午前2時とかに見物場所に着いて8時間ぐらいボケッと待っていたので、それに比べると今回はずいぶん余裕のある旅です。・・・なんか落ち着かない(笑)
2倍テレコンを付けて800ミリ相当で望む7号機。
これまではCFRP(炭素繊維強化プラスチック)そのままの色で黒かった1段目と2段目の間が、7号機では白く塗られていて、そこに国土交通省などのロゴが入ってます。ツクシみたいな直径5mのフェアリングとあわせて、柔らかいイメージになっているなと感じました。細いフェアリングで背が高く、黒い段間部でキュッと締まった印象の2・3・5・6号機とは対照的です。

白いのは耐熱コーティングだそうで、H-IIA再開に至る改良の一環なのか、それとも今回のミッション特有の理由によるものなのでしょうか。素人的には、今回はこれまでより”パワーウエイトレシオ”の高い仕様なので、空力加熱が厳しいのかな?などと想像しました。
打ち上げ時刻の17時9分が近づいてきました。

近づいて、近づいて、・・・過ぎました。

「時間、過ぎたよね?」
あちこちから聞こえる声。

3度目にしてついに嫌われたのか・・・?
過ぎちゃったらもう今日は無理なんじゃないか?
いや、そんなことはないはずだ・・・
根拠のない気持ちも混じって、どうしていいのかわからなくて、頭がパニックになってきました。


何人か関係者の方はいらしたのですが、その方たちにもリアルタイムの情報は入ってこず、打ち上げ時刻を10分ほど過ぎたところでようやく「通信系のエラーがあって、18時25分に向けて改めてカウントダウン中」との情報がもたらされました。

よかった。まだツキには見放されていなかったようです。
改めて打ち上げの30分前。
射点のまわりに火災防止の散水がはじまりました。そうそう、これがあったかと思い出しました。打ち上げ前の儀式を目にすることで、ちゃんと打ちあがってくれるんだなと実感。ワクワクが一気に大きくなってきました。
1時間あまり遅れた間に日が沈んで、僕にとってはじめての暗い中での打ち上げとなりました。以前来たときに「夜だったら昼間みたいになるんだよ」と島の人から聞いて、いつか見てみたいと思っていたので、一見物人としては結果的に良かったといえます。

ただカメラのほうはどう設定していいかまるでわかりません。
ロケットの炎はかなり明るく光るし、周りは暗いし・・・。
勘と最大限の段階露出でなんとかしようと、評価測光がマイナス2を示す「f5.6(開放) 1/10秒」を一番明るい露出にして、2段きざみの段階露出をかけることにしました。つまり、f5.6で1/10秒、1/45秒、1/180秒です。これまでに見た夜の打ち上げの写真を思い出すと、沈む直前の夕日くらいのレベルではロケットが照らされるかなと思われ、それだとf5.6で1/125〜1/250秒くらいでいけるかもしれないという読みもありました。


今回は関係者の方のカウントダウン中継も聞こえなかったので、自分で117の時報を聞いてカウントダウンしました。たしか18時25分0秒きっかりに上がると思うのですが、間違ってるかもしれないのでなんとも不安な盛り上がらないカウントダウンです

「18時24分ちょうどをお知らせします・・・」

コンパクトデジカメのオマケ機能ムービーを撮影開始。

「18時24分50秒をお知らせします・・・」

電話を切って、あとは心の中でカウントダウン。

あと数秒というところで、ロケットの下にかすかな赤い光が見えました。
「きたっ!」