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0秒。
携帯のタイムラグのせいか「0」のコールよりわずかに早くオレンジ色の光がロケットの下に点りました。次の瞬間音もなくリフトオフ。
「ふわぁ・・・」
歓声をあげたつもりでため息になってしまったような、声にならない声があちこちから聞こえてきます。
7秒。
「ズズズズズ・・・・ドォンバリバリバリ・・・」
打ち上げ3秒前に点火されたメインエンジンの音、そして0秒に点火されたブースターの音が10秒遅れで響いてきます。辺り一帯が空気の振動に包まれ、他にはもう何も聞こえません。
そうそうこれこれ!この感じ!!
映像では伝わってこない、あの感触が10か月ぶりに体を揺さぶります。
15秒。
ロケットは低層の雲に突入。雲全体がオレンジ色に光ります。数秒の後、雲の上に現れたロケットはすでにかなりのスピードに達し、あっという間に見上げるほどの高さに駆け上がっていきました。肉眼でロケットの形がわかるのは最初の25秒くらいで、あとはもう煙を引きながら上昇していく光の塊にしか見えません。「さんざん待ったのに早過ぎるよぉ」と思ってしまいます。
信じられないことに、15分前までしつこく空を覆っていた雲が8割方消えて真っ青な空になっていました。その青空の頂上へ向かってロケットが飛んでいきます。
45秒。
ロケットの音も姿も小さくなって見物は一段落。どこからともなく拍手が沸き起こりました。 |
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