離陸から1時間半。降下が始まりました。
晴れていた中部地方と違って、関東は一面雲の海。
成田の天気も「曇り」とアナウンスされました。

巡航中のアナウンスでは20分程度早着する予定とのことでしたが
いつもよりゆったりとした、長い旋回をしているなと思っていたら、
空港混雑のためにホールド中で、もう15分ほどかかる旨が案内されました。
DC-10が「降りたくない」と嫌がっているのか、大きく2周、旋回が続きました。

DC-10が旋回するのにあわせて、光も回っていきます。
主翼の上を、垂直尾翼と第2エンジンの影が通り過ぎていきました。

後ろに消えた太陽が、前から再び現れてエンジンを照らしました。

機内に差し込む光も慌しく動きます。
ちょうど真横から差し込むと、反対側の壁に窓の形が映し出されました。

やがてホールドも終わり、高度がさらに下がってきました。
近づいてくる雲の海。
この下は、暗い曇りの世界なのでしょう。
雲の向こうに太陽が消え、DC-10も雲の中に飛び込みました。。

灰色一色だと思っていた、雲の下の世界。
「とうとう終わってしまう」
それしか考えることができないだろう、寂しい世界。

ところが、そこには赤く染まった光が差し込んでいました。
海へと続く”天使の階段”。
その美しさに見とれ、寂しさを感じることも忘れてしまっていました。

再び見えた太陽は。霞を通してオレンジ色の夕日に変わっていました。
左に夕日。眼下に海岸線。
DC-10はランウェイ34を目指していることがわかりました。

ファイナルアプローチ。
34エンドの畑で、みんなが待っていました。

空港の上に入ったとき、地面がびっしょり濡れているのに気づきました。
こんなに綺麗な夕焼けなのに・・・ついさっきまで雨が降っていたのでしょう。
(あとで聞いたところでは、30分前まで土砂降りだったとのこと)
DC-10は最後まで奇跡を起こしたのですね。

そして・・・タッチダウン。
機内のあちこちから聞こえてくる拍手。
僕もDC-10に心からの拍手を贈りました。
DC-10の長い長い旅が、この瞬間終わりました。

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