10月31日。952便の出発ゲート。
そこには、ラストフライトを告げる横断幕が掲げられていました。
10月いっぱいで運行を終えてしまうという話を耳にしてから1か月。
その間、JALからの正式なアナウンスを聞くことは一度もありませんでした。

この横断幕は、「ひっそりと退役させてしまうつもりなの・・・?」という不安を拭い去るとともに、
「本当にラストフライトなんだ」という現実を突きつけるものでした。

青空の下、成田からの便が到着。

10月に入ってから、週末は雨ばかり。
「最後は青空を一緒に見たい」
そう思ったのも、確実に晴れる雲の上で一緒いられる
ラストフライトに搭乗しようと決めたひとつの理由でした。

ヘンな顔・・・。
動いているテンを外から見るのはこれが最後・・・と
胸がいっぱいになってくるのを見透かして、和ませてくれたのでしょうか。

コックピットへ、写真を掲げて思いっきり手を振りました。
コックピットから、手を振り返してくれました。
最後は親指をグッと立てて合図を交わしました。

テンの瞳に、鶴丸が映っているのに気づきました。
隣にいる関空行きの尾翼の鶴丸です。
「記念のフライトは鶴丸の姿で迎えたかった・・・。」
テンがそう言っているようで、心に染みました。

出発前には、クルーが勢ぞろいしてセレモニーが行われました。
周りを見回すと、ラストフライトに乗りに来たファンは20人くらいいるようです。
中には「MD-11のラストフライトでお会いしましたね」と再会を驚きあっている姿も。

ガラス張りのボーディングブリッジを抜け、
人の流れの隙を突いて記念撮影などしつつ、機内へ。

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