JAL's DC-10 〜ラストフライト〜
プロローグ1
「関西空港でありがとう」

2005年10月29日〜31日。DC-10にありがとうを言う3日間。
その1日目は、DC-10最後の関空へ。



10月の土曜日はすべて天気に恵まれず、この日も朝から雨でした。
「晴れないかなぁ・・」
ターミナルで買ってきた蓬莱の豚饅をパクつきながら、どんよりした空を眺めていました。

時間が過ぎていき、テンがそこまで近づいてきたころ・・・。
ほんのちょっとだけ空が味方してくれました。
滑走路の向こうの空が、うっすらと赤く明るくなったのです。
かすかにベイパーを引きながら見えてきたシルエット。
3本のメインギア、3つ目のライト、3つのエンジン・・・。
遠いうちから雰囲気で大体わかっていて、それが確信に変わる瞬間が好きです。

直前に降りてきていたルフトハンザカーゴのイレブンに見守られて、
開港以来ずっと通い続けた、海に浮かぶ滑走路に最後のタッチダウン。

(降りてきたイレブンをテンだと信じ込んでシャッターを切りまくっていたというのはテンには内緒です(笑))

テンを待っているかのようにゆっくり進むイレブン。
やがて、2機は一緒に歩きはじめました。

JALと違って、ルフトハンザのMD-11は自分の会社のDC-10を知りません。
自分が生まれる前に退いてしまった兄貴分が、ここではまだ飛んでいる。
そのことに敬意を示すように、イレブンはテンを先導していきました。

いろんな飛行機に囲まれて、スポットに入るテン。
国内線の友達と会うのはこれで最後です。
出発まで、たくさん思い出話をしておいてね。

薄暮の中でも、あんなに遠くにいても、テンの姿はすぐわかります。

出発は真っ暗になってから。
遠くて暗くてほとんど闇に隠れてしまいそうなテンの姿を、
わずかに光を反射する第2エンジンを頼りにカメラを向けてフィルムに収めました。

動き出したテンの姿を、一度見失ってしまいました。
「もう飛ぶのかな? いま滑走路に入ったのがそれかな?」
翼端のライトがパパッ、パパッと2度ずつ光る飛行機が
滑走を始めたのを見て、30秒のシャッターを切りました。

低い雲に反射して響いてくるエンジンの音を浴びながら、
この目で見送る最後の離陸を見上げました。

(ユーレイみたいに写っているのは、シャッターを押してから前の列に走っていった自分です(笑))
NEXT → 2005年10月30日 成田
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