[Part-3]

「関西空港に着陸いたします」

そのアナウンスが流れたときの機内は、「呆気にとられた」というのが正確でしょうか。
長旅を終えてあとはセントレアから家に帰るだけだと思っていたところ、
時差であまり眠れずに少し頭がボーっとしているせいもあるのか、
ざわめきもなく単に「あ、そうですか・・・」という感じで平静そのものでした。

そんな中、急にテンションが上がっていたのが最後列左側の二人・・・つまり僕ら(笑)
僕たちの今日の予定は、セントレアに降りたあと車で関空に向かって、
年始恒例の写真展に参加するというものでした。
関空にはすでに写真仲間が大勢集まっているはずです。

「なんかオモロイことになってきたぞー」
「関空で降りれれば『写真展に早く来るためにイレブンのルート変えてもらった』てなるし、
関空で少し待ってからセントレアに飛ぶなら、それはそれでネタとしておいしい」
「みんなもう来てるかなー? 気付いてくれるかなー?」

雲の下に出たイレブンの窓から見えたのは、伊勢ではなく淡路島の風景。
次いで神戸空港、天保山。本当に関西に降りる気です。
雨は降っていないようですが海は白波が立っていて、風が強そうなのがわかります。

写真は着陸直前の機内から撮った1枚。
ちょうど仲間の車が1台スカイゲートブリッジをを渡っていたそうで・・・。
「あれ、フィンエアだ?」「ああ、定期便ですよー」
と平和な会話が交わされていたとのこと・・・。

撮影:りゅうさん
さて、そのころ展望ホールにいた仲間の声を聞いてみましょう。

「・・・ホントにキタ━━━━(゚д゚)━━━━ッ!!?」

すでに他のダイバート便がセントレアから来ていて、
「あいつら乗せてフィンエアも来たりして〜」
と笑っている最中の出来事だったとか。

※このページの作成にあたり、展望ホールにいらした方々に
たくさんの写真をお貸しいただきました。
この場を借りて御礼申し上げますm(_ _)m。

撮影:りゅうさん
よりによって展望ホールに一番近いスポットに入りました。
これで完全に晒しものです(笑)

エンジンが切れ、あっさりしたアナウンスが流れました。
「当機はこれから給油を行います。なお、出発は12時の予定です。」
大阪が目的地の乗客がいることなど想像もしていないのでしょうか。
希望者は降りてよいともだめだとも、一切触れられませんでした。

仕方ないのでこちらから聞いてみます。

「あのー・・・僕ら大阪が目的地なんですけど、降りられないんですか?」
日本人CAさん→チーフパーサーさんと話が伝わって返ってきた答えは
「荷物を一旦すべて降ろさなくてはいけなくなるので無理ですねぇ・・・」
「なるほど。では、荷物はあとで着払いで送ってもらえばいいと言えば?」
今度は日本人CAさんはどっかに行ってしまって、
しばらくしてから関空のスタッフを連れて戻ってきました。
「この機の乗客は中部空港で入国することになっているので、関空の入国は通せない」
というのが答えでした。
去年、ヴァリグの日本最終便がセントレアにダイバートしたときは
名古屋が目的地の乗客は降ろしたと聞いていたので
それを引き合いに粘ってみましたが
「それは例外中の例外でしょう」
と取り付くしまもありません。
釈然としませんでしたが、ドッと疲れも出ていて粘る元気もなく引き下がりました。

右側の窓から外を覗いてみました。

「うわぁ・・・すぐそこやん・・・」

展望ホールまで距離にして数百メートルでしょうか。
めっちゃ近くなのに、めっちゃ遠い世界です。

そこにいるはずの方に、携帯で連絡をとってみました。

「正月早々エライことになってまんなー。みんな大爆笑ですわー


ああ、やっぱり・・・。

雨だと思ったら・・・

急に日が射したり・・・変な天気。

濡れた地面と光がいい感じになるときもあって、
展望ホールからは面白い写真が撮れてそうだなぁと思いました。
しかし風はかなり強いようで、フラフラしながら降りてくる飛行機もいます。

乗っているイレブンも風に巻かれて小刻みに揺れていました。
横風を受ける垂直尾翼に重心の高い第2エンジンがくっついているせいか、
けっこうよく揺れてあまり気持ちのいいものではありません。

ふと、フィンエアが着いたときから隣のスポットにいたタイに
荷物の積み下ろしなどの動きが全くないことに気付きました。
「もしかして・・・」
と思って望遠で見てみると、やっぱり窓には
ぐったりして動くのも億劫そうな人影が。お仲間ですね・・・。

撮影:つがみさん
出発予定とされた12時が近づいてもこちらに出発する気配はまるでなし。
隣のタイにトーイングカーが付けられたので
セントレアの風が弱まって出発できるようになったのかと思いきや、
定期便にスポットを空けるために別のスポットへドナドナされていっただけでした。

そして、時間を過ぎてからやっと流れたアナウンスはというと・・・。

「中部空港の天候が回復しないため、皆様には一旦飛行機を降りていただき、
ターミナルにてお待ちいただきます。なお、出発時刻は16時を予定しております」

2時間待ちの挙句にさらに4時間・・・!
おとなしかった機内にも初めて「ええぇ〜〜」と溜息が漏れました。

「一旦降ろされてまーす。でもやっぱり出られません・・・もうぐったりです」
「いやぁそうですかー。ご苦労様でーす」
電話の向こうの声は、慰め半分、笑い半分。
新春からオイシイ・・・これだけがこのときの自分を支えていました(笑)

それから4時間、あまり楽しかった記憶はありません。
今となっては笑って振り返れますが、このときはもうイライラとグッタリに
すっかり押しつぶされていました。

楽しくない話をいろいろ書いても仕方ないので待ち時間の話ははしょりますが、
とりあえず一言だけ。

「16時に出るから15時半にはゲートに来るように!」
としつこいくらい言われて乗客はちゃんと集まったのに、
ホテルで休憩をとっていたクルーがホテルのロビーに
集合したのが16時とはどーゆーこと!?\( ̄□ ̄)/



つづく

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