「150」
不意に聞こえたそれは、音響測定に来ていたNASDA職員の方の声でした。携帯電話でカウントダウンを中継しているのです。そう、もう打ち上げまで2分半ということです。僕たちも便乗して聞き耳を立てます。
「120」・・・・・・・・・・・・「100」・・・・・・・「90」・・・・・・・「80」・・・・・・・「70」・・・・・・「60」・・・いつの間にか50人くらい集まっていたギャラリー全員が、シンと静まり返ってカウントダウンを聞いています。さっきまでふざけあっていた地元の子供達も神妙な顔つきです。
「55」・・・「50」・・・「45」・・・「40」・・・「35」・・・「30」・・・「25」・・・「20」・・・「15」・・・
さあ来い!と気合いを入れます。
打ち上げの瞬間は肉眼で見たいので、三脚に据えたカメラは覗かずシャッターボタンにだけ指をかけました。
「10!」
「9!」
「8!」
「7!」
「6!」
「5?」(←何故かこの声だけトーンダウン)
「4・・・」(←まだ自信なさげ)