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カメラごしにばかり見ているのももったいないので、前ページ最後の写真のシャッターを切ったあとはしばらく肉眼でロケットを追いました。テレビで見たりするのと違うのは、固体ロケットブースターが吐くオレンジ色の炎が太陽のように眩しいほど明るいこと。そして、大きさに似合わない加速も見ていて不思議です。ロケットというのは非日常っぷりが甚だしいものなんだなあと改めて感じました。
前ページの写真のときにはまだ音が僕のところまで届いていなくて、ちょうどカメラから目を離したくらいでようやく聞こえてきました。想像していた「ズゴゴゴゴゴゴ」というような重低音ではなくて、「パリパリ」「バリバリ」系の乾いた音。5キロ離れているせいもあってか思ったより大きな音ではありませんでした。 |
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固体ロケットブースターの吐く真っ白な煙が青空にぐんぐんのびていきます。ずいぶん遠くまで飛んでいっているはずなのですがのびるスピードはめちゃめちゃ速くて飛行機雲がのびるスピードの倍以上ありそうです。 |
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やがて、ずーっと続いていた白い航跡が途切れて小さな光の点だけになりました。固体ブースターが燃料を使い果たして切り離されたのです。このとき、すでにロケットの高度は80キロ。宇宙の入口にさしかかっています。
さっきまで目の前にいたものがもう宇宙に届こうとしている、それを目の当たりにしているということに、深い感慨を覚えました。
それから間もなく、光の点は蒼空に吸い込まれていきました。肉眼で見える2分30秒間のショーはここまででおしまいです。 |
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打ち上げから1時間後。港へ向かうバスは乗客も運転手もみんなロケットを見た人ばかりで、まるで小学校の社会科見学のバスのように無邪気な興奮に満ちていました。
来るときにもバスが一緒だった東京のおじさんも乗ってきました。昨日射場を望む海辺で会ったおねえさんも乗ってきました。たしか昨日は「ちょうど打ち上げの時間に出る船で帰らないといけない」って悔しがってたハズなのに・・・(笑)。
ロケットを見に来た人はみんな「夢のあるものをはるばる見に来た」という共通の思いがあるし延期でヘコむのも一緒の運命共同体なので、すぐに仲良くなって話が弾みます。
「なにはともあれ来てよかった!!」
バスに乗っていた全員がそう思っていたことは間違いないでしょうね。
(おしまい) |
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