ひとつひとつの部品を眺めるように、ゆっくりとドアまで歩きました。 一度は降りようとしたのですが、ちょうどそのときコックピットのドアが開きました。 |
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覗き込んだ、憧れのDC-10のコックピット。 最初で最後、最後の最後にこの目で見ることができました。 出発前のセレモニーで機長に贈られた花束が、 今度は機長からDC-10に贈られたかのようにスラストレバーの上に乗っていました。 降り際、DC-10に抱きついて泣いてやろうかと思っていたのですが、 最後まで幸せいっぱいの温かいラストフライトのおかげで、 悲しいという気持ちは少しも沸いてきていませんでした。 機体に顔を寄せて記念写真を撮ってもらい、タラップへ降りました。 くるっと回れ右をして、「ありがとうございました!」と、深々と頭を下げました。 |
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タラップを降りると、空はもうかなり暗くなっていました。 まず、DC-10の顔を見上げました。 見ているときは気づいていなかったのですが、頬のライトが点いていたのですね。 いつも点いているわけではありませんでしたが、ノーズギアのライトと共に 3つ目で光っていると、DC-10がより精悍に見える大事なアイテムでした。 今日もまた、まだ先へ進もうとするDC-10の意思の現れのようです。 |
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続いて、エンジンと尾翼を見上げました。 空にぽっかりと浮かんで口をあけた第2エンジンのインテーク。 その上に、鶴丸。(今日は”太陽のアーク”だけれど) このデザインに惹かれ、ずっと追いかけてきました。 間に遮るものもなく同じエプロンに立っているこの時間を、とても幸せに感じました。 |
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隣で翼を休める僚機。 1か月前に旭川で会ったDC-10でした。 あのときは、こんなすぐにお別れの日が来るとは思っていませんでした。 |
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機内で、機外で、思い思いに心ゆくまで最後の時間を過ごさせてもらったファンを乗せて、 最後のバスの扉が閉じました。 みんな満足そうな笑顔。大きな拍手と「ありがとう」をみんなでDC-10に贈りました。 走り出したバスの窓から、いままでで一番近くに第2エンジンが見えました。 見上げたエンジンの格好良いこと格好良いこと・・・。また惚れ直しました。 DC-10を追いかけていった先々での奇跡、数えきれません。 DC-10を追いかけていったことがきっかけになった出会い、数え切れません DC-10がくれた幸せは、今日のラストフライトでもまた増えました。 本当にありがとう。ありがとう。ありがとうDC-10。 生まれてはじめての、JAL/DC-10のいない空が、明日から始まります・・・。 |