旅客便でMD-11を運航する唯一の航空会社、KLM。
KLMはすべての機材に1機ずつ愛称がありますが、ほかの機種が地名や動物といったモノなのとは一線を画して、、
MD-11には先駆的な活躍をした女性の人名を冠しました。
女性的なトライスターに対して男性的と言われたDC-10の系譜にある機体に敢えて女性名を付けるところに、何か特別な想いを感じます。
最後に残った1日2往復のカナダ路線を飛ぶのは、
「マリア・モンテッソーリ」「フローレンス・ナイチンゲール」「オードリー・ヘップバーン」の御三方。
2014年9月13日。7年ぶりのアムステルダムに到着。
キャセイ機を降りてフライトレーダーをチェックすると、KLMのイレブンがちょうど今着陸してこっちに向かってくるところ!
ロビーの窓に張り付く僕の目の前、本当に目の前をタキシングしていきました(ウイングレットの大きさにご注目)。
天気は曇りでしたけど、上々のファーストコンタクトに気分が高まりました。
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午前9時半発のトロント行き。
9時半といっても秋分に近く、かつサマータイムのアムステルダムでは、光はまだ朝の風情です。
この日の午前中は南風で、ランウェイ18Cから離陸した機体はすぐに右旋回し、お腹に光を回り込ませた綺麗な姿を見せてくれました。
空の蒼さも抜群で、すこぶる気持ちよいひととき。
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低めの光をほぼ真横から浴びて。
客室と比べるとコックピット窓の巨大さがやはり際立ちます。
MD-11は客室窓も決して小さいほうではないのですが・・・。
MD-11で敢えて心残りを言うならば、一度フライト中にあの窓から空を見てみたかったな。
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MD-11の大好きな構図の一つ。やや斜め後ろから両翼のウイングレットが見える角度。
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上の写真と同じ機体、同じ場所、同じ便ですが別の日に単焦点300ミリで撮ったもの。
全体を入れるか、どこまで切り取るか迷いに迷います。
でも今回は、とにかく楽しんで撮ろうということを一番に考えていました。
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撮影のメインになるのはランウェイ36L、通称「ポルダーバーン」。
滑走路の両側ともフェンスなし(水路がフェンス代わり)のロケーションゆえ、空港のお約束である「囲まれた・仕切られた」感じがありません。
撮っているときの解放感も大好きですし、写真にもそれが表れていると思います。
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KLMのMD-11は午前中にトロント行き、午後にモントリオール行きの各1便ずつ。
ポルダーバーン東側は立ち位置が離陸後追いになる1箇所だけのため、立ち位置を自由に選べる午後は前がちに撮ることを考えていました。
最初の日に感覚を確認し、2日目はランウェイチェンジとなり、3日目のラストチャンス。
ここと決めた場所に陣取り、500ミリ単焦点勝負でその時を迎えます。

予想より長めに滑走してきて、もうアカンというタイミングで機首上げ。
結果的には思っていたのとは違うし細かい粗はいろいろあるけれど、
これまで僕が撮ってきたMD-11写真にはなかったパワフルな絵が撮れたと思います。

ところでウイングレットを入れないと、MD-11ってこんなに”丸い”んですね。
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上の写真の数秒後。
ウイングレットと機首の位置関係はここがベストなので、これを300ミリで撮るのも良かったかなと思いましたが、
MD-11は機首、第2エンジン、両翼のウイングレットと見所が端っこにバラけているので
全部入れると写真としてはやや引きすぎになってしまうのが難しいところです。
第2エンジンの存在をギリギリ残しつつ、機首からメインギアまでの範囲で画面の対角線を埋めたこの切り取りも結果的には気に入っています。

ちなみに、よくよく見ると
遠くに見えているKLMもMD-11のようです。
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イマドキの飛行機と比べると短くてあまりたわまない主翼。
だからこそカチッとしたウイングレットが似合うともいえるでしょう。
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滑走路が近いおかげで、後追いも主翼上面まで見えて非常に綺麗です。
キャプテンが「最もセクシーな飛行機」と評したことには全くもって同感。
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帰る日の朝はどこでどう撮るかノープランで迎えました(^-^ゞ。
それでも夜明け前からとにかく動いてみるべし。
外に出るといつもより朝焼けが綺麗で、いつもより空気がみずみずしくて、
これはやってくれるかもと思ったら案の定ベイパーを引きながら降りてきてくれました。
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アムステルダムを離れる飛行機がポルダーバーンに向かってタキシングする途中、休息中のMD-11の姿が見えました。
心の中で静かに「ありがとう」と言いながら撮った、ファイナルコンタクト。
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