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撮ってはブレを確認して消して再トライを繰り返しているうちに、空が白みはじめました。
最初のときよりも北斗七星はずいぶん上に回っていて、また延々2時間撮り続けていたことに気付きます。
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再びアンチコリジョンライトの赤と、今度は朝焼けの赤。
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朝食のボックスが配られましたが、窓の外を撮るのに夢中でしばらく放置。
マフィンはお持ち帰りにしてヨーグルトとジュースだけ1分でかき込みました。
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日の出です。
ほとんど徹夜の目に朝陽が沁みます。
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アムステルダム到着まであと20分。
僕のMD-11フライトも最後のフェーズに入ってきました。
高度が下がり、朝焼けの雲の海が眼下に近づきます。
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こちら側の翼がグッと下がって左旋回。ウイングレットとフラップガイドにゆっくりと光が回りこんできました。
・・・あれ?左?
右旋回して南から進入だと思っていたの意外な展開。
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フライトマップを見ると、明らかに空港の北側に回りこんでいます。

このままいくと、朝陽を見ながらポルダーバーンに北から着陸することになりそうです。
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海岸線を越えてオランダ上空へ。
地面が何かに覆われています・・・霧のようです。
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最後の右旋回をしてポルダーバーンのファイナルに乗りました。
霧と朝陽とウイングレット。絶景にただただ見とれます。
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ふわふわの羽毛に包まれた、不思議な世界に降りていく気分。
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みずみずしい空気の中を飛べば当然ベイパーが発生するのがMD-11。
目の前でベイパーが朝陽に輝きながら踊ります。
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周囲の畑が一面の霧に覆われたポルダーバーンに着陸しました。

旅に出る前に1週間ほど発着状況を見ていたときも、このあと4日間の撮影でも、この便はいつも日の出前に早着していました。
思い返せばそもそも出発が(搭乗自体が)20分くらい遅かったのです。

DC-10のラストフライトでは幸運にも日没に間に合って、MD-11では幸運にも日の出に間に合ったというわけです。
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ターミナルから一番遠いポルダーバーンに降りてくれたので、着陸の後の余韻を楽しむ時間もたっぷりあります。
水路を越えてタキシングしていくうちに、外の景色がだんだん霞んできます。
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原因は窓の外の水滴。
高度4万フィートを巡航してキンキンに冷えた機体が、霧を纏う空気のなかに降りてきたのですから当然ですね。
スポットインするころにはほとんど何も見えなくなってしまいました。

見えなくなってしまいました。

見えなくなってしまったんですが・・・。
あれ・・・?

何か見覚えのある形が見える・・・わあああ大変だ!!!
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こんな状況なのに窓が曇って見えないとかありえなーい!
しかし世の中なんとかなるもので、2列前の席は窓が曇っていないのを発見。
降機の列に混じってすばやく移動し窓に張り付きました。

昇ってきた太陽の光が霧で少し散らされて、黄金色の背景を作ってくれています。
ウイングレットをピッタリ並べて寄り添う2機のMD-11。

信じられない”演出”に感激するしかありません。
演出といえば、これまたDC-10ラストフライトを思い出します。
あのときも到着がDC-10同士の並びで感激したものでした。

またまた最後の降機になるまで堪能させてもらってゆっくり降りる迷惑な客ですが、
クルーの皆さんは親しく声をかけてくれてお喋りしてくれました。

以前はKLMのMD-11が就航していた名古屋にいま住んでいること(その頃は住んでいなかったけど、も含めて)。
近々KLMのMD-11についての本が出るらしいこと。
キャプテンからは、今日のフライトのデータを書き込んだメモをいただきました。

ほとんど徹夜でハイな部分も加わって、ふわふわ浮いたような高揚感の中、幸せいっぱいの最後のMD-11フライトを終えました。
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